婚前契約書を公証役場で-No.3

 婚前契約書を公証役場で公正証書化したいというご相談が多いという話の続きです。

 契約ですから、①公序良俗に反したり、②違法な内容であってはならない点は前回の内容です。

 そもそも、この「公正証書」というのはなんぞや?という話が今回の話です。

 公正証書とは、私人(「しじん」=個人又は会社その他の法人)からの嘱託(「しょくたく」=頼まれること)により、公証人がその権限に基づいて作成する文書のことで、「公文書」となります。「公文書」は、私文書(=私人が作成した文書)とは異なり、公正な第三者である公務員がその権限に基づいて作成した文書です。ですから、私文書より証明力が強い文書になり、婚前契約の内容に違反した側が将来の離婚裁判等で不利になりえます。


 また、公正証書化することにより、「強制執行力」をもつこともありえます。たとえば、金銭の契約書の公正証書を作成する際に、「金銭を支払ってもらえない場合直ちに強制執行に服する」という内容が記載されている場合があたります。この「強制執行力」がある公正証書を「執行証書」(=債務名義の一種)といいますが、この場合は、たとえば、お金を借りた者が約束を守らずお金を返さない場合に、お金を貸した者が裁判をしなくても強制執行をすることができます。

 では、婚前契約書を執行証書にできるのでしょうか。


 現状としては、地域によって(≒公証役場によって≒公証人によって)扱いが異なるようです。

 これは、プレナップ(婚前契約書)が日本では正式な制度でない(法律がない)ことが原因のようですね。

 私の理解と収集してきた情報からは「婚前契約書の公正証書化はしてもらえないことが多い」「してもらえても(執行証書にはしてもらえず)あまり意味がない」「東京は進んでいるようだけど…」といった感じですかね^^;